南校舎の屋上は鍵がかかっているので普通には入れない。
つまり、正真正銘二人きり。
いつも利用しているから屋上の暗証番号を知っていると言う桂馬。
今まで説明されてなかったが、屋上で桂馬がゲームしているシーンはほぼ南校舎で通常は立ち入れない場所。
鍵を開けられる桂馬を「さすがゲーマー」と茶化してたちひろだが、アイドルのかのんも暗証番号知ってるんだぜ。
そんな2人が屋上に上がっていくのを見送る歩美。
うまくやっていそうな2人に安堵しているようにも見えるが、その心情はやはり複雑。
応援すると決めたからといって、 そう簡単に割り切れるものではないだろう。
ガラスに映らない歩美の姿。
映らないことが不自然と言うわけではないのだが、やはり違和感を覚えるカットとなっている。
伏線、というは布石か。
二人きりでの屋上のやり取りはどこかよそよそしい。
この2人の関係は男女というよりは、性別の関係ない悪友に近かった。
お互いに意識した状態ではうまく回らないのは当然だろう。
しかし何して良いか分からなくていっぱいいっぱいのちひろが可愛い。
もはや何も言うことはない。
というか言えることが無い。
「ずっと一緒にいたいって思ったよ」というちひろの言葉に、無言で押し倒しに行く桂馬。
もう流石というしかない。
流石です神にーさま。
「桂木・・・やさしくしてよ・・・・・・
わ・・・私・・・初めてだからね・・・」
くぁwせdrftgyふじこlp;
悶え死ぬ。
予想はしていたが、やはりこのシーンは声が付くとやばい。
しかしこのシチュエーションでこのセリフ。
ちひろはキスだけで終わると思ってないよね?その先も想像してるよね?完全に覚悟完了してるよね?
しかし、
「初めて・・・?キスが?」
ちひろはキスをしたことがないという。
それはちひろは攻略の記憶を持っていないということ。
つまり、ちひろに女神はいないということ。
明らかになる最後の女神の宿主。
それは歩美だった。
ちひろに女神がいないことを確信した桂馬は、ちひろと歩美の立場を入れ替えようとする。
強引な方法だが、ちひろに女神がいない以上攻略を進める必要は無い。
しかし桂馬は自分が攻略でちひろをコントロールできていなかったことに気づいてしまう。
桂馬の攻略は全て今までにプレイしてきたギャルゲーの展開に合わせていくもの。
ヒロインのパラメータを解析して、それに都合の良い展開へと導いてく。
それが桂馬のやり方だった。
しかし、ヒロインの側から”都合の良い展開”へと導いてきた場合、それがどういう状況なのかを理解できない。
今ストーリーがどこまで進んでいて、好感度がどれだけで、エンディングがどうなるのかを予測できない。
桂馬は決して高いコミュニケーション能力を持ち、アドリブで臨機応変に立ち回り人間関係を構築できる訳ではないのだ。
全ては経験したことのある展開をなぞっているだけだった。
自分の攻略に沿っていれば大体の好感度の計算はできるが、今はそうではない。
さらにちひろは女神がいないので攻略の記憶を持っていない。
好きだと言われても、何故好きなのか、いつから好きなのかが全く理解できない。
このあたりに桂馬の抱えてる問題があり、神のみぞ知るセカイという物語の根幹もある。
「そ、そんな好きになり方ありえないんだよ。攻略もしてない接点も無い、なんでそれでボクが好きなんだよ」
「好きになるのに理由なんてないよ。気がついたらもう、好きになってたのさ!」
理屈でしか恋愛を語れない桂馬と、理屈なんて知らない好きという気持ちがここにあるというちひろ。
理想(ゲーム)のセカイに住む少年と、どこにでもいるありふれた少女。
そんな2人の恋の物語。
そうであれば、どれだけ良かったことか。
ちひろからのキスシーン。
ここは凄く演出が良かった。
花火が上がっているのも良いし、何よりもBGM。
1期から使われている攻略完了のBGMが流れる。
感動のラブストーリーこれにて完!!とやっても、(細かいことに目を瞑れば)悪くなかったのかもしれない。
しかしこの物語には、悪魔がいて、女神がいて、封印された古の悪魔がいて、その古の悪魔を復活させて三界制覇をしようとする勢力がある。
怒って泣いて笑っての青春ラブストーリーではない。
「好きなわけ・・・ないだろ」
ちひろに好きかどうかを問われた桂馬はそう答えた。
自分がリアル女を好きになるわけが無いと。
勘違いしたリアル女を騙してやったのだと。
さすがにーさまクズだぜ!!
という冗談はさておき、桂馬には桂馬の事情がある。
かのんを助けなければならないし、他の女神の力もつけなければ宿主が危ない。
今は駆け魂狩りではないので大丈夫だが、元々は自分の命がかかっていた。
だから攻略をするしかなかった。
しかしそんな事情にちひろは関係ない。
”女神がいれば”関係はあったが、ちひろには女神がいなかった。
ならば桂馬にできることはちひろを突き放すことだけだ。
とはいえ、さすがにこれは言いすぎである。
何も知らない人が、傍から見れば最低のクズ野郎だ。
傍から見てた!
当然桂馬にも酷いことを言った自覚はある。
そうでなければ、去っていったちひろを追いかけて階段まで様子を見に行ったりしない。
しかしそこまでだ、吐いた言葉は飲み込めないし追いかけてかける言葉もありはしない。
そして、
現状を整理してこれからのことを考える暇もなく、状況は動いて行く。
歩美に決定的な瞬間を目撃され、問い詰められる。
当然ここで事情を話すわけにはいかないので、苦し紛れの言い訳をしようとする桂馬だが。
ゴズ
まぁこうなりますよね。
目の前で親友に酷いことをして振った男が口説きにきたら普通はこうなるだろう。
最低呼ばわりされるのも当然だ。
桂馬自身も自覚しているからこそ、その言葉を受け入れる。
ちひろに言った言葉で自己嫌悪に陥る桂馬。
落とし神とはいえ所詮は高校生。
想定外の事態に完璧に対処できるわけでも、常に誰も傷つけずに上手く立ち回れるわけでもない。
特に桂馬は全くの想定外の事態と押しに弱いので、その両方が同時に起これば上手く動けなくなる。
自己嫌悪で落ち込んでいる桂馬の元へディアナがやってくる。
曰く、
「私・・・桂木さんを愛してしまったみたいです!!」
ダメだこの駄女神。早くなんとかしないと。
自分が桂馬を愛してしまった罪悪感で翼がでない。
だから天理を愛してくれ。
何言ってんだこの卑し神様は。
いきなり風呂場に現れて愛せといって服を脱ぎ始める。
このergどこに売ってますか?
しかしいきなり突撃したところで、キスしただけで気絶しちゃうような娘が一緒に風呂に入れるわけがなかろうて。
ところで律儀にスク水を着込んでたということは桂馬が風呂に入るのを確認してから突撃してきたのだろうか。
天理がスク水で寝るという奇特な子じゃない限りはこのスク水は卑し神様のチョイスということになる。
風呂に入っていれば全裸で逃げられないだろうと考えて突撃してきたのであればさすが姉妹一のキレ者()ぞよ。
(一応原作では狙った入ってきたと思われる会話がある。)
自己嫌悪で凹む桂馬に何があったのかを尋ねる天理。
しかし桂馬は何もないと天理を突き放す。
桂馬でなくても、自己嫌悪の原因、それも女の子に酷いことを言って傷つけたなんて言いたくはないだろう。
しかも相手は同じ歳の女の子だ。
プライドの問題だってある。
出て行ってくれ、と天理を突き放した桂馬だが風呂からあがると天理が玄関にうずくまっていた。
ここはちょっと今回の改変で気になったシーン。
アニメでは桂馬は普通に風呂から上がってきているが、原作では天理を突き放した後にすぐに追いかけている。
ちひろを傷つけてしまったように天理も傷つけてしまったのではないかと気にかけるシーンだ。
声のかけ方も一応気にはしているが、躊躇っている印象があまりない。
これだと桂馬が風呂に入ってさっぱりすることである程度吹っ切れたように見えなくもない。
天理はしょぼくれていたわけではなく、桂馬を元気付けるために待っていた。
桂馬が落ち込んでいるのは誰が見ても分かる。
でも天理は理由を問わない。
元気がないから、笑って欲しいから。
ただそれだけの理由で待っていた。
「私・・・桂馬くんが好きだよ。でも、私が好きな桂馬くんは・・・ゲームしてる桂馬くんだよ」
天理は攻略されていない。
でもそんなことは関係なく、ゲームが好きな、いつも通りの桂馬が好きだという。
しかも唯一(今のところ)桂馬が嘘をついて演技をしていることを見抜いて、無理に笑わなくてもいいと言ってくれる。
女神ですね。
癒し神ですね。
何はともあれ、鮎川天理という女神に支えられて桂馬はもう一度前に進むために立ち上がる。
翌日、エルシィ登場。
女神篇ではほとんど出番がなかった。
なおこの後もまた最後までほぼ出番なしである。
まぁゲーノー人でケツカッチンでリスケリームーだからしょうがないね。
女神の校章、大量の駆け魂、塞がれた地下への穴、地下の企み、この場所で今何かが起ころうとしている。
つまり―――
「ボクには関係ない」
さすがです神にーさま。
明らかに良からぬことが起きようとしてるとに関係ないとぶった切るそのスタンス。
とても主人公とは思えない潔さとブレなさ。
まぁ実際問題何かあったところで桂馬にで出来ることなんて何もない。
あるとすれば、何かが起きる前に女神を揃えることだけだ。
つまりは今までとやることは変わらない。
舞高祭が始まるよ―――!!!
最後のシーン西部劇みたいで嫌いじゃない。
今回のEDはキズナノユクエ。
しかしこのタイミングで歩美に「信じてる」と言われてもこっちが信じられない。
(尚女神篇が終わっても違和感がある模様)
次回、最初の敵がラスボスになって現れる(ry
スライムは?ねぇスライムは!?
全体的には良くできてたと思う回。
特にAパートは良かった。BGMでの演出も際立っていた。
しかしやはりちひろを振ってからのタメがないので桂馬がダメージ少なく切り替えることができたようにも見える。
とはいえ暴言吐いたところで切ると、初見組みが相当なダメージを受けるだろう。
原作のときはやばかった。
桂馬がクズなことをやっているのは、本人が自覚しているし事情があるのでしょうがない部分が大きい。
だからと言って正当化することもできない。
まぁこのあたりは今原作でやっているあたりでクローズアップされているので女神篇で答えが出る部分ではない。
今回の桂馬の自己嫌悪についてもちょうどシャレにならないレベルで深刻化しているので、盛り上がってきている。
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