ある意味で今週のアニメの、女神篇の続きといえる内容。
桂木桂馬というキャラクターのやってきたこととやっていくことをどう解釈するか。
ひいては桂馬が自身の内面とどう向き合うのか。
アニメと展開がリンクしすぎてて、思うところはたくさんある。
とりあえず貴重な妹分・ドクロウちゃんが久々登場。
エルシイ?あれはマスコットです。
ドクロウちゃんが読んでいるのは『やさしいかんじ入門』。
さすがデキる妹は違う。
どこぞの小悪魔なんて半年近く経ってようやくテストの問題文が全部読めるようになったというのに。
10年前の歩美とちひろに会ってしまった桂馬は、前に進むことができなくなってしまった。
10年後に自分がしてしまったことに対する罪悪感と自己嫌悪が桂馬を苛む。
しかしそれほど意気消沈した状態でも冷静に球が起こしている現象を観測しているのは桂馬らしい。
屋上から桂馬の後姿を見ていた天理は、桂馬を探していた。
落ち込んだ桂馬を天理が探して慰めるという当初の予定は、 図らずとも予定通りに進もうとしていた。
しかし天理よりも先に香織が桂馬を見つけてしまう。
あんまり考えてもしょうがないのかもしれないが、どうやって見つけたのだろう。
また犬のようにくんかくんかしたのだろうか。
そもそも何で桂馬を探しに来たのか。
香織からすれば勝負の時間まで待っていればいいはずだ。
しかも桂馬の状況を知っていて声をかけてきている。
桂馬にエルシィがいるように、香織はヴィンテージの協力を得て桂馬を監視していたのかもしれない。
優しそうな顔で心配してるようにも見えるが、言っていることが酷い。
落ち込むなんてバカのすることだと切って捨てる。
香織は自分以外の周囲の人間をバカ呼ばわりしていた。
何も考えずにやりたいことをやる子供たちをバカ丸出しと評して見下していた。
その一方で桂馬には強い関心と執着を見せている。
そんな香織が口にした『理想』というキーワード。
神のみぞ知るセカイにおいては非常に重要な意味を持つワードだ。
桂馬は自身を『理想』のセカイの住人と謳い。
灯は『理想』の人間を作ろうとした。
長瀬と月夜は強く自分の『理想』を求めていた。
他のヒロインたちもそれぞれの理想があり、現実とのギャップに苦しんでいた。
この『理想』はそれぞれで形が全く違う。
それぞれの理想はそれぞれの思いの形であり、何一つとして同じ物はない。
ならば、香織の語る『理想』とは何なのか。
それは、全てが自分の思いどおりになる世界のこと。
大きな家に住んで、可愛い服を着て、信号は全部青。嫌いな人は誰もいない。
そんな都合の良い世界にすること、それが香織の理想。
そして桂馬に、自分たちに都合の良い世界を一緒に作ろうと持ちかける。
香織は桂馬をその他大勢のバカとは違って考えることのできる賢い人として評価していた。
だから仲間になれと。
香織の語る理想は実に安っぽい。
例に挙げたものも好意的に解釈すれば子供らしく微笑ましいと言えなくもないが、香り自身が子供扱いされることを拒否している。
両親がいないことを子供扱いされなくて助かったと言い、周囲をバカで何も考えてないから幸せだという彼女は、そのくせ誰よりも子供っぽい幸せが欲しいと言う。
この矛盾とも取れる言葉は何を意味しているのか。
桂馬はそんな香織を否定する。
お前はバカだと。
しかしそれは香織の言う何も考えていないバカとは違う意味だ。
香織は桂馬のことを自分と同じ種類の人間だと言った。
そして桂馬も香織に自分と同じでバカだ、と言う。
桂馬の言葉はどちらかといえば自分に向けているように感じられる。
相手のことをちゃんと見ようとせず、利用して自分の望む結末を得ようとする。
そんな自分がしてきたことを香織に重ねての発言に見える。
しかし桂馬に拒絶?された香織さんはキレる。
ええええええええええええなにこの人怖い。
いや怖いのは分かってたけど、論理性がないというか突然感情的になる。
沸点が低すぎるというべきか。
正直なところ桂馬に一緒に理想の世界を作ろうと持ちかけてきたのも本心かどうか分からない。
同じ視点に立てる仲間が欲しいとも見えるし、桂馬を陥れるための策にも見える。
爽やかにニコやかに話してたかと思ったら、タメ口にマジギレしたり、絶対に許さない殺してやる発言したりとかなり激しい二面性。
仮面を使い分けるのが下手なのか、単純に沸点が低いのか。
暴れ始めた香織を止めようとする天理だが、難なく突き飛ばされてしまう。
香織のことを怖い人と思っていたはずなのに割って入って止めようとする天理がいい子すぎる。
そして香織に何を言われても、椅子でドアを殴られても反応しなかった桂馬が天理悲鳴に反応している。
こういうのを見ると桂馬が根っこの部分で本当はいいヤツだというのがよく分かる。
どんなに沈んでいても、気力がなくても反応せずにはいられない。
そして香織に突き飛ばされても天理は諦めない。
小1と小6の体格差だ、その差はとてつもなく大きい。
それでも天理は桂馬を守るために奮い立つ。
やばい天理ヤバイ。まじやばい。
女神すぎてやばいとしかいえない。
しかしその女神を前にして、
この顔である。
いや怖いよ。
虫けらを見るような目で無表情ってめちゃくちゃ怖いよ香織さん。
絶対ロクでもないこと考えてるよこの顔。
空間の崩壊が進みリセットされようとする中、香織の仕掛けた罠が発動するまでの残り時間も少ない。
桂馬はこのままリセットされることを選ぶのか、それとも再び立ち上がることを選ぶのか。
結局、香織の目的と本心が良く見えない。
問題が桂馬の内面へとシフトしているので分かりづらくなっているというのもある。
香織が桂馬に執着している理由が仲間が欲しいからなのか、屈服させたいのかが分からないので先が予想できない。
まぁどちらにしろ自分が上であることは前提条件となっているはず。
そのあたりでどう展開してくるか。
香織は桂馬の裏返しとも言えるキャラクターなのでこのシリーズは恐らく最大の転機となるだろう。
そしてその鍵を握っているのは天理だ。
神のみぞ知るセカイのワイルドカード、鮎川天理。
桂馬がこれからどうなるかは天理にかかっている。
今回のサブタイトルは【love's labour's lost】。
神のみはシリーズ毎に関連したサブタイトルがつけられるが、これもシェイクスピアの作劇が一つ。
和名では恋の骨折り損。
色恋を禁じていた男4人が4人の女に一目ぼれしてうんたらかんたらな喜劇らしい。
紆余曲折あって4人の恋は実るのだが、1年のおあずけをくらって終わるようだ。
あらすじしか見ていないが、あんまり関連性は見出せなかった。
しかし代表的なセリフのさすところは近いものがあるかもしれない。
光が光を求めると光から光をだまし取られる。つまり闇の中に光を見つけるより前に、ものが見えなくなって、世界が暗くなってしまうのです。
だじゃれが栄えるのは聞く者の耳のおかげであり、それを言う者の舌の力ではありません。
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