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2013年9月25日水曜日

神のみぞ知るセカイ FLAG244 「Much Ado about "Something"」 感想

サブタイトルは Much Ado about "Something"
シェイクスピアの喜劇 Much Ado about Nothing(邦題:空騒ぎ)のもじりだろう。

空騒ぎが”なんでもないこと”について騒いでいるのに対して、”何か”について騒ぎたてていることになる。
またNothingはシェイクスピアの生きた時代・エリザベス時代においては女性器のスラングらしい。
対してSomethingは男性器のスラングとのことだ。
この場において”男性”は桂馬しかない。
つまり桂馬を中心として騒動が起こるということか。
いつも通りじゃないか。

空騒ぎは、二組のカップルが試練を乗り越えて結ばれるという内容の恋物語である。
一組は男嫌いと女嫌いが舌戦を交わしながら魅かれ合い、もう一組は陰謀によって一旦は仲を裂かれながら最後には誤解が解けて結ばれることとなる。
後者については香織の策略(と歩美ちひろに出会ったことで)、攻略をリセットしようとしていた桂馬と天理の状況に合致していると取れる。
前者は香織と桂馬と見えなくもないが、両者とも別段男嫌いと女嫌いというわけでもないのでちょっと違う気がする。
あくまでもSomethingに改題するところに意義があるということか。





・前回のあらすじ

一人で攻略するのをやめて、天理と協力して物語を進めることを決めた桂馬。
自分のやり方の限界を認めて初めて他者を頼った桂馬は香織をどうやって攻略するのか。




香織と勝負するために体育館に来た桂馬はもう女装はしていない。
演目がロミオとジュリエットなのでそのために女装をやめたのか、あるいはもう隠す必要がないと思ったのか。

香織に素の状態を見せたことはなかったので、香織は桂馬かどうかの確信がもてない。
 
だからといって匂いで確認しようとするのはどうなんでしょう。
確かに香織さん鼻が良いって設定あったけども、人の匂いをそんなにくんかくんかしなくても・・・




オーブの変化を受けて、もうリセットはできないと判断する桂馬。
今まではリセットのたびに紋様の線が減っていたので、紋様がなくなった状態ではリセットできないと考えるのが自然だろう。

どこかでエネルギーを回復する展開はあるのだろうか?
それとも自身の壁を乗り越えた桂馬にはもはやリセットは不要なのか。

前回リセットされていないはずなのに、エネルギーを使いきったように見えるのはなぜか。
リセットしそうになった時点でエネルギーは消費されているのだろうか。




桂馬が落ち込んでいたことに気づけなかったことを悔やむエルシィ。
エルシィは桂馬を信じすぎているが故に桂馬の変化に気づくことが出来ない。
無条件に信じることができるというのは大きな強みなのだが、弱っていることに気づけないのは欠点でもある。

しかし回復した桂馬からすればそんなことはどうでもいい。
いつものように自分を信じてサポートして、うだうだ悩まずに能天気に生きていてくれればそれで良いのだ。
それがエルシィの良さであり、エルシィに求めるところなのだから。


ヒロインとしては致命的に弱いが。





まさかのガラスの仮面パロ。

香織は必ずどこかで仕掛けてくる。
それは効果的で印象的で、自分の勝利を揺るがないものへとする場面のはずだ。
今更嫌がらせのようなことをして不戦勝を狙ってはこないだろう。




香織の目的は心の隙間のある女の子を作ること。
そのためにランキングを作っていた。

自分の目的のために悪魔の力を使おうとする香織が、目障りな天理をそのままにしておくはずがない。
自分の前に立ちふさがった天理を完膚なきまでに叩きのめしヴィンテージへと差し出すつもりなのだろう。




問題はどうやって心の隙間を作るかだが、ヴィンテージは女の子に首輪をつけていた。
そして桂馬が出会った歩美の首にもそらしいものが付けられていた。

現時点での歩美の順位は6位だから、候補として上がっていてもおかしくない。





桂馬の勘違いの可能性もあるが、そうでなかった場合歩美に心の隙間が作られて駆け魂を入れられてしまう可能性がある。
そうなると桂馬がコントロールして女神を宿すことができなくなってしまう可能性が高くなるのでそれは避けなければならない。
なので首輪について調べることができそうな唯一の人物・ドクロウの元へ歩美を連れて行くようにエルシィに指示する。
調べて報告しろ、と言っているのは首輪を外すことのリスクも考慮した上での判断だろう。

自分が状況をコントロールできなくなる可能性を排除するための行動だろうというのは推測できるが、歩美の首輪を調べるのはそれだけではなく純粋に心配している部分もあると思いたい。


ところで香織さん普通に小細工もしてるようですよ、桂馬くん。




状況の解説と、それに沿った指示出し。
女神篇以降見ることの少なくなっていた桂馬の攻略スタイルが戻ってきている。
バディがエルシィ以外の場合は深く説明する必要がない、というのもあるだろうが本分が戻ってきたということか。

通常攻略をしていたころとは思考や精神状態が大きく違いそうだが、ここから本領発揮だ。

ちなみにアニメの方の女神篇最終話で同じようなエルシィのセリフがあったのだが、そちらが前回までのエルシィを連想させる”見えてなさ”で皮肉っぽい。
あえてタイミングを合わせてきたのだろうか?




演劇の開幕まで時間がなく、練習どころか台本読みすらできてない。
しかしそんなものは必要ない。




がんばると言ってくれた天理を信じる。
用意されたストーリーなんて必要ない。
桂馬の考えたプランを実行するのではなく、2人で物語を紡いでいく。

1人ではできないことでも2人ならきっとできる。




とはいえ、急にそんなことを言われても天理にはどうしようもない。
とにもかくにも覚えている範囲で演技をするしかない。




この辺りは桂馬も織り込み済みだろう。
天理がいかに聡くても所詮は小学生、場を動かすのは桂馬が中心だ。

そして桂馬は女装していない状態で初めて表舞台に出る。
男子は全て監禁されている状態なので、ダレコレ状態である。
これがサブタイトルの意味しているところの一番分かりやすいところか。




一方香織さん。
引っかかる訳ないと分かっていつつも、一応罠を仕掛けている。
自分が勝つために余念がない。




歩美を連れ出すよう指示されたエルシィは、姿を見られるわけにはいかないので変装していた。
確かに小学生ぐらいならこんなうさんくさい嘘でも騙せるだろう。
特に歩美は素直で騙しやすそうだ。

そしてちひろの表情が酷い。




歩美のミサイルっぷりはこの頃から発揮されているようだ。
人間離れした機動力は女神の力もあってこそかと思っていたが、どうやら本人の能力によるものらしい。




ほとんど台本を読んでいないはずだが、それでも少しは目を通していたのだろう。
天理もかなり、それこそ桂馬に匹敵するレベルの可能性があるほど頭が良い。




練習をせずとも、それなりに見れる劇の形になっている。
桂馬は普通に台本を読んでいたのでセリフも覚えているのだろう。
天理が間違ったり、セリフが出てこない状態になっても十分フォローしていけそうだ。




しかしそれでは意味がない。
ただロミオとジュリエットをなぞって、作られたストーリーを再現するのでは先に進めない。
目的は劇を完遂することではないのだ。

香織を攻略し、




天理との約束を作り上げること。
未来へと繋ぐ大事な仕事を託すこと。

そのために劇というこの場を利用し、自分の立場の説明と新しい物語の創造を同時にやってしまおうとする。
なにこれすげぇ。




当然天理からしてみればなんのこっ茶である。
作られたストーリーは必要ないだの、2人で物語を作っていくだの言われはしたが斜め上にもすぎている。




やりたい放題の桂馬。
しかし普通ではない状況にさえ持ち込めれば、演劇という状況を利用して何でもありという状況にできればあとはギャルゲーマーの腕の見せ所。
桂馬主体で物語を動かしつつ天理のキャラクターを立てることができれば即席ラブストーリーの出来上がりだ。

桂馬としてもそのまま演劇で勝負をつけるつもりはないのだろう。
必要なのは勝つことではなく、香織を攻略することであり、ヴィンテージの計画の全容を知って利用することだ。
天理についても桂馬が嘘をついているかどうかを見抜ける公算が高い。
ならば演技や作り物で誤魔化さずとも特異な状況を利用して紳士に向き合えば2人の物語は紡いでいける。
天理がアドリブの利くキャラではない(と思われる)ので下手な小細工をするよりも正面からぶつかって桂馬がコントロールする形に持っていったほうが良さそうだ。


なんにせよこんなアホな展開になって天理と香織がどう動くかが見ものである。
そしてこんな次回が気になる展開で次号は休載。
アニメ関係でカラーの仕事が多かったのに休載できなかったのでしょうがないが、続きが早く見たい。

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