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2013年10月16日水曜日

神のみぞ知るセカイ FLAG246 「良い縒り糸、悪い縒り糸」 感想

サブタイトルは良い縒り糸、悪い縒り糸。
調べてみても直接的なものは出てこなかった。

もしかしてテーマがシェイクスピアでなくなったのか?とも思ったがそうなると尚更分からない。
しょうがないのでとりあえずシェイクスピアにあたりを付けて調べていたら次のような言を見つけた。

The web of our life is of a mingled yarn, good and ill together.  

邦訳するならば、「人の一生は、良い糸も、悪い糸も、いっしょくたに編み込んだ網だ。」となる。
yarmは縒り糸と訳せるので恐らくこれだろう。

このセリフは、All's Well That Ends Well(邦題:終わりよければ全てよし)の中のものだ。
セリフだけで噛み砕けば人生は一筋縄ではいかない清濁あるものだ、と解釈できる。
その中で良い縒り糸と悪い縒り糸とは何なのか。

これは簡単なことではない。
今はまだ、いろいろあるよとしか言えない。

ちなみに『この終わりよければ全てよし』は問題作にカテゴライズされる作品となっている。
色々調べてみると面白い。






・前回のあらすじ

うんめい を ぶっこわす!




羽衣と桂馬のトンでも作劇力で大好評のうちに幕を閉じた時間航行SFスペクタル『ロミオとジュリエット』。
栞の星間戦争を割りと笑えないレベルでぶっ飛んでたんじゃないかと思うが、ウケが良いようなので問題ない。

むしろアドリブで天理に説明しながら劇を進めるという離れ業を見せた桂馬くんはやはり作家業とかで生きていけるんじゃないだろうか。
持論を活かせばきっと大人気ラノベ作家になれるぞ!




そんな2人を舞台裾から見守るのは優しい笑顔のお姉さん


の皮を被った香織さんである。
素敵な微笑みだが、今更この笑顔を素直に信じられる読者はいないだろう。
いたとしたらその人にはドMの嫌疑がかけられるはずだ。

あるいは思いのほか劇が良くできていたので、叩き潰す相手が検討してくれて嬉しいのかもしれない。
その場合前回の顔芸なんだったの?となるが、香織さんの百面相はあんまり深く考えても答えは出ない類のものだろうから気にしてもしょうがないか。




舞台裾で待つ香織さんの手には首輪を付ける道具が握られている。
これで天理に首輪をつけようということなのだろう。

やっぱり笑顔だけど内心ブスブスじゃねーか。
表面的にはかなり余裕のあるキャラに見えるが、やってることや言ってることから余裕の無さが見て取れる。




そして舞台裾の更に奥で待機しているエルシィ。
ご丁寧に透明になった上にテーブルの下に隠れている。

どうやら羽衣人形は遠隔操作ではなく、近場で操作していたようだ。




香織の思惑に気づいたエルシィだが、桂馬の指示がないので動けない。
パッと見情けなくみえるが、現状ではベターな選択だろう。

本当に危なければ指示が無くとも動くだろうが、現時点では判断が難しいので状況を見つつ待機が正解である。

しかし天理が桂馬の理解者、対等な存在として強調されている昨今の展開に対して、エルシィは信奉者とも取れる立ち位置で描かれているように見える。
桂馬の指示を仰ぎ、盲目的に信じている。
そのせいで桂馬が消沈していたことに気づけなかったし、助けることもできなかった。
エルシィの向かう未来はどこにあるのか。




現れたヴィンテージにあと1人いけにえを追加したいという香織さん。
すがすがしいほど悪役である。
あと1人追加したい、ということは既に必要な人数は確保してあるということか。
具体的な人数は明かされていないが大量に必要というわけではなさそうだ。

ヴィンテージの目的の先が女神の確保であったことからも、6人だろうか。
ちょうど歩美の順位が6位で首輪が付けられていたことからも根拠になるか。




しかしヴィンテージは香織の申し出を断り、自分達でもう1人確保するという。
それは、








香織さんいったああああああああああああ


世の中上には上がいる。
悪役よりも悪い悪がいるのだ。

首輪をする装置だと分かっていても一瞬貫かれたのかと思って焦る。
今はまだ死人はいないけれど(悪魔除く)、女神篇での前科があるので油断してると危ない。




つーかこの装置こんなガチで首しまるのかよ。
香織さんの顔芸の歴史に新たな一ページが刻まれた。

香織さん徹底してヒロインとして描かれてないなぁ。
年上ヒロインの場合泣いてるシーンで鼻水書いてあったりと割とヒドイ(ある意味では良い描写とも取れるが)扱いだったりする神のみだけれども、香織さんは群を抜いている。
年上だけど一応小学生なのよ香織さん。




桂馬は舞台裾で何かが起こっているのには気づいたが、それを無視する。
まぁ見てもしょうがないし、下手に巻き込まれても良いことはない。




首輪を巻く装置を回収しようとするエルシィ。
妨害とか派手なことにはなかなか乗り出せなくても仕事はしようとします。

ところでスカートの中が消えてるんだけど作画ミスでしょうか?
ミスですよね?
単行本なら修正されるんですよね!?




エルシィの報告により事情を理解した桂馬。
桂馬は早い段階から最終的に香織が切られることを予見していた。

だからこそ香織に”助けてやる”と言ったのだが、香織はそれを拒んだ。
自分が裏切られる(そもそも利用されていただけだろう)とは露ほども思わず、全てをコントロールしていると思い込んでいた。
完全に自業自得である。




だからこそ桂馬も香織よりも他の女の子を助けることを優先した。
もし香織が本当に助けを求めていたとしたら取るべき選択肢は違ったかもしれない。

とはいえ桂馬にはやらなければならないことがあり、どうあがいても手が足りない以上優先順位を定めて処理していくしかない。
最優先事項が女神関係であることは変わらないのでどのみち香織は後回しになってしまうか。




今週のエリュシア・デ・ルート・イーマさんの大仕事。
どうやら先ほどのシーンは装置を回収しようとして失敗したのではなく、入れ替えた装置を置いていた場面だった模様。

やるときはやるのがエルシィ。
だけど失敗したと言われても違和感が全く微塵も毛のほどもないのが悲しいところである。




ドクロウちゃんによる解析結果。
科学魔法とかいうやつらしい。
魔法についての詳細は特に語られていないので良く分からない。

が、羽衣も魔法ではなく科学技術(科学魔法?)という設定があるようなので恐らくそこらへんはちゃんと設定されているのだろう。
表に出てこないけど。
魔法については良く出てくる錯覚魔法と女神篇で出てきた暗殺魔術とハクアの使ってた動魔術が確認されている。
羽衣等に起因しない本当に魔法のようなものについては魔術と表記されているので実は差別化がされているのかも。


ところでこのあゆみんの焼け方はタンクトップだろうか。
それとも水着だろうか。
どちらもありそうなので決定付けられないが、あえて全部焼いてしまうのではなく跡を残しているところにこだわりを感じる。




科学魔法と聞いてやたら食いつくエルシィ。
61式と言われても全く分からない。

61式と言われたら61式戦車だ。
リアルでは戦後初の国産戦車なのだが、個人的にはザクに踏み潰されているイメージしかない。
実際にはMS、具体的にはジムが量産されるまでは連邦軍の陸戦兵器の主力として頑張っていたらしいが、やっぱり踏み潰されているイメージしかない。




エルシィにすら時代遅れといわれる61式魔法。
10年でそんなに魔法技術が変わったのだろうか。

というかこの時点ではエルシィはただの掃除係のはずなのに秘密結社であるヴィンテージが使う魔法がなぜ時代遅れなのか。
ヴィンテージの諸君は学校で習った技術しか使わないようなあんぽんたんなのだろうか。

或いはエルシィは駆け魂隊配属時に魔法を勉強しなおしたのだろうか。
ここ10年内で科学魔法のブレイクスルーがあり、それが羽衣に反映されてたりしたとすれば納得できる。


と思ったが、10年後でも透明になってた桂馬とちひろをヴィンテージの雑兵共は見抜けていなかったので単にヴィンテージが腑抜けてるだけなのかもしれない。
それかノーラさんが凄く優秀かのどっちかだ。




自分の方が優位に立っているというこで燃えるエルシィ。
しかし目的を見誤っている。

エルシィは未だに過去に何をしに来たか理解していないのだろう。
まぁ肝心の場面ではいなかったりすることが多いからしょうがないね。
いたとしても理解できなさそうだし。




桂馬の目的はあくまでも自分のいた未来へと繋がる世界を作ることだ。
そのためには目を瞑らなければいけないものもある。

仮にヴィンテージそのものを潰してしまえる可能性があっても、それをしてはいけないのだ。




とはいえ良い様にやらせるわけでもない。
相手の計画を最低限成功させつつも、状況をコントロールし自分の目的を達成する。
しかも共闘関係ではないので、こちらの存在に気づかれるわけにはいかない。

非常に難易度の高いミッションである。




ともかく桂馬には策がある様子。
エルシィの回収した装置を使うようだが、どう使うのだろうか。
対象をすりかえるぐらいしか思いつかないぞ。

とりあえずそちらの作業はエルシィに任せて桂馬は香織を助けに行くことに。
香織は自業自得でヴィンテージの手に落ちてしまった。
桂馬の目的からしても優先順位は低い。


だとしても助けないとは言っていない。




「攻略ってのは求めるものを与えるもんだけど・・・今回は何つーか・・・おせっかいって、やつだよ」



おせっかい・・・だと・・・

おせっかいという言い回しになっているのは、香織自身が助けを求めているわけではないからだろう。
どんな善意からくるモノであっても、当の本人が求めていなければそれはおせっかいになる。

ならばなぜ桂馬がそのおせっかいを焼こうとしているのか。
それは桂馬が助けたいと思っているからだろう。
攻略以外では他人との接し方が分からないそもそも接する気がないと公言していた桂馬が、他者を、それも過去の世界で出会ったばかりの人物を自分の意思で助けようとしている。
まるで主人公みたいじゃないか!(主人公です)




エルシィが女の子たちを助ける作業のためにパーティから離脱した代わりにドクロウちゃんがINだ!
結界があったのに普通に入ってきたぞ!!
ドクロウちゃんスペック高すぎ問題が発生しつつあるなこれ。

そしてこちらの妹も全面的に兄を信じているので色々と見落としをしてしまいそうだ。
と思ったけど、ドクロウちゃんならそんなことはないぜ。
どこかのコアクマとは違うのだよ!コアクマとは!!って言われそうな気がした。




もちろん天理も忘れずに連れて行く。
一人にしておくと何があるか分からないし、最終的に天理にはディアナと出会ってもらう必要がある。
それまでコントロール配下から外れることはリスクでしかない。

しかしそれ以上に、






今の天理は桂馬の相方なのだから。




香織さんの顔芸がどうだとか、天理のセリフ2個しかねぇとか、ドクロウちゃんマジぱねぇとか、エルシィが最近やたら有能とか、そういうのもあるけどそれどころじゃなかった今回。
桂馬がおせっかいを焼こうとするという衝撃。

そもそも神のみのスタート地点は桂馬自身の命が人質に取られているから仕方なく攻略を開始したところであり、そこから続く女神篇も自分の不備によって命の危険に晒されたかのんを助けようとしたものだった。
結果的に数多くのヒロインを助けてきたことになるが、それは助けを求めているヒロイン達と桂馬の助けなければいけないという使命が合致したからこその結果だ。

しかし今回の香織には駆け魂も入っていないし、香織は助けを必要としていない。
悩みはボクらのキラカード。
その言葉が指し示す通り攻略に必要なのは悩みであり弱さであり、助けを求める心だった。
キラカードを持っていない香織を攻略するというのは、間違いなくおせっかいだろう。
プライドの高い香織がそれを受け入れるはずもない。
それでも桂馬は香織を助けることを決めた。

桂馬が香織に何を感じたのかは分からない。
ただ天理と約束して、現実と、相手と向かい合うことを決めた。
だから香織を助けるのだ。
自分と同じバカだからこそ、助けることができるはずだから。

2 件のコメント:

  1. 香織ちゃんはゲームという理想の世界が全てだった一巻以前の桂馬だと思ってるので
    それをおせっかいで助けるというのはいいですね
    過去の自分を救うという意味で過去編に相応しいクライマックスです

    そう言えば桂馬が攻略するきっかけも騙されてつけられた首輪でしたね
    そこは意図的にオーバーラップさせてそうだなー

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    1. 香織は攻略キャラというよりもやはりそういった意図があってのキャラに思えますね
      最近はないですが単行本のキャラ紹介にも期待です

      たしかに首輪というアイテムを選んでいるのは対比構造を狙ったものかもしれないですね

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