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2013年10月9日水曜日

神のみぞ知るセカイ FLAG245 「As You Like」 感想

サブタイトルはAs You Like。
シェイクスピアの喜劇で邦題は「お気に召すまま」。

何度か調べてみたが本編との関わりは良く分からなかった。
一方にとっては気楽な恋のゲームだが、もう一方にしてみれば自分を演じる本気の遊びという恋愛ゲーム部分がかかっているだろうか。
この2者の立ち位置の違いが桂馬と天理の在り方を示しているとも見える。
或いは香織と2者の比較か。





・前回のあらすじ

2人で新たなストーリーを作ると天理に宣言した桂馬は、劇中に自分が未来から来たことをバラし舞台を利用して状況を説明しようとしていた。




本来はロミオとジュリエットのはずの舞台なのだが、大作SFになってしまっている。
状況説明としては桂馬自身の状況について説明するというよりは、桂馬がやらなければならないことの背景を説明している状態。

悪魔を倒す「秘宝」というのは”女神”であり、桂馬の”攻略”の結果だろう。
その「秘宝」を求めて、設定するために時空を旅している。




しかしそんなシリアスな話をしているのに、実にゆるい感じである。
桂馬の顔芸レパートリーに今まで無かった新しいものが追加された。




一方劇のほうはガチシリアスっぽい。
舞台装置はLCの羽衣以外にはないのだが、いつのまにかいろいろできるようになっているようだ。

羽衣人形の精度もあがっているし、複数制御もできている。
というかこのロボット普通に話してるけど、それは大丈夫なのか。




射撃や爆発は派手にやっているが、そもそも桂馬がしかけている劇なので特に危険は無い。
しかし天理は、そういう特殊な状況には慣れていないのでつい素で「桂馬くん」と呼んでしまう。

そんな天理にこれは劇なのだからと「ロミオ」と呼ぶように諭す桂馬はどこまでも冷静だ。




だからこそこの階段の特異性が見て取れる。
階段の構造から見ても、明らかに劇の範疇を超えている。
この階段を登って行けということは、つまりその先は劇ではないということだ。




事実、階段を登りきった先に置いてあった手紙の宛名は「ジュリエット」ではなく「天理」だった。
先ほど劇中で「桂馬くん」と呼ぶ天理を咎めた桂馬が、「てんりへ」と書いている。

これが示すことは、劇ではなく本当のことを伝えようとしているということだ。
天理もそのことに気づいた様子。




封筒は3つに分けられており、それぞれ読むタイミングが指定されている。
幼い天理でも分かるようにできるだけ漢字を使わないように配慮している桂馬はやはり優しい。

前回舞台裏で書いていたのはこの手紙だったのだろう。




一つめと二つめの封筒はすぐに読むように指示しているが、三つめの封筒はずっと後に読むように指示していた。
それは2人が再会したタイミングでだ。

つまり10年後、単行本7巻での”再会”の後に読めということだろう。




桂馬はついに自分が未来から、10年後から来たことを伝える。
全編を通して舞台裏の話をこれが初めて。




この手紙に書かれている言葉のどこまでが本当なのか。
全てが本心、というわけではないだろう。
天理の協力がなければ、何もできないというのはそう思う部分もあるだろうがそのままの意味ではきっとないはずだ。

だとしても、天理を誘導するためにある程度表現を選んでたとしても、自身の無力さを認めて全面的に任せるというのはやはり今までの桂馬になかった大きな変化だろう。




キャンプ時の細かいスケジュールと状況に合わせた行動も指示してある。
この辺りはギャルゲーと今までの攻略経験の賜物だろう。

自身の記憶に合わせて行動を支持するだけでなく、それ以外のパターンについても想定してあるのが実に”らしい”。




手紙を読んだ天理は桂馬が本当に未来から来たことを知った。
泣いてると思った、天理がそう言ったのはFLAG242でのことだった。

自己嫌悪でセカイをリセットしようとする桂馬を助けるために嵐の中に飛び込んだ天理。
未来であった”悲しいこと”が何であるかは分からない、でもそれが何であるかは関係ない。

目の前の”ロミオ”が未来人でもそうでなくても、どうして泣いているのか分からなくても、泣いている―――悲しいことがあった、ただそれだけの理由があれば。




”ジュリエット”は何度でも嵐の中に飛び込める。



天理無双ここに極まれり。
今までも散々天理無双だったが、回が進むごとに無双度合いが上がっている。
相棒を、共犯者を用意するという意味で今後これ以上のイベントが起こることは無いだろう。




最後の意思確認。
今までも何度か意思確認をしてきたが、正真正銘これが最後だろう。
舞台裏の、セカイの状況を伝えてからの意思確認だ。

これ以外に取るべきルートは残されていない。




天理は2人で進むことを『運命』だと言った。(劇に肖ってだが)
しかし桂馬はそれを否定し、『運命』をぶっ壊すと告げる。

現時点での物語の目的は”女神を定められた宿主に受け渡すこと”だ。
それこそまさしくヒロインたちにとっては『運命』であり、天理も例外ではない。
だが桂馬にとってそれはスタート地点を用意するという目的でしかない。
もっと先に目指すべきエンディングがある。

『運命』を背負うことになるヒロインたちはみな、日常的な現実から離れてしまう(桂馬に言わせればクソゲーに巻き込まれる)ことは避けられない。
ならばそのクソゲーをクリアしない限り、エンディングには辿り着けない。
だからといって、クソゲーのルールに則ってやる必要は無い。
前提となるスタートは用意してやる、だがその先は自分達のやり方で闘って【運命】をぶっ壊すのだ。



手紙、しかも開封時期の指定してある舞台装置を用意したのは素直に評価できる。
いくら天理が賢しい子供だったとしても一戯曲の中で全てを理解して10年間行動するのは無理だろう。
実際に動く必要があるのはキャンプ時と再会後だけだが、その間に桂馬に接触することはできないしディアナに知られるわけにも行かない。
それどころか、再会後も全ての女神が揃うまでは動けないのだ。
ならば手紙という装置を用意して、必要最低限の情報だけで行動させようということだ。
最低限の情報だけしか持っていなければ、桂馬の指示なしには天理は動こうとしないだろう。
だからこそ”再会”してから読めという3通目が活きてくる。

3通目の内容は、女神篇とその後の過去へ行く手筈についてだろうか。


今回の話は今後の”バディ”についての話と考えていいだろう。
今までのバディの遷移は、エルシィ(通常攻略)→ハクア(女神篇序盤~中盤)→ちひろ(女神篇終盤)→エルシィ、ドクロウ(過去編序盤?)、と着ておりここから天理がバディに替わる。
とはいえ天理の場合は今までのバディ遷移とは違って、平行した状態、極端な話時系列で過去から女神篇終了(場合によってはそれ以降も)までの間バディとして存在していることになる。
天理無双ってレベルじゃねーぞ。

桂馬に最もダメージを与えたのがちひろであるなら、桂馬を最も変化させたのは天理になる。
それが純粋に成長と取っていいのかどうかは分からないが、人間・桂木桂馬にとって最大のターニングポイントであることは間違いないだろう。
(成長という単語については原作者があえて使うのを避けている)

・今週の香織さん


イライラしてらっしゃる。
劇が受けているのが面白くないのか、それとも舞台背景からなにか感じ取るものがあったのか。
或いは単純に桂馬と天理の関係が気に入らないだけかもしれない。

2 件のコメント:

  1. ほとんど通りすがりですが…
    丁寧に物語をなぞるような解説と、筆者の考察がとてもわかりやすく、このブログを見つけたその日に過去ログすべて読ませてもらいました。
    それ以来、このブログを通して神のみを読ませてもらっていたりします。
    文章うまいね、うらやましいです。
    ここはお礼を残しておきたいなと思いまして。サンクスコ

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    1. コメントありがとうございます。
      書き始めたのが最近なので過去ログはあんまり量がないですがw

      これからもちまちま更新していきますのでどうぞよろしく。

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