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2014年3月19日水曜日

神のみぞ知るセカイ FLAG263 「you can't always get what you want」 感想

サブタイトルは you can't always get what you want.
いつだって欲しいものが手に入るわけじゃない。

おなじみローリングストーンズだ。


でも今回は感想の前に、



25巻が発売されたので買ってきた。
例の如くメッセージカードコンプリートのため複数買い。
三洋堂は通販なので少し時間がかかる。

と、なんでこんな購入報告を感想の前に入れるかというとまぁわざわざこんなブログまで感想読みに来てくれる方々は既にご存知であろう情報が載っていたからだ。



次巻の26巻で完結。
過去編が完結ではなく、神のみぞ知るセカイという作品が完結。

マジかよ。

ちょっといきなりすぎるので各所で話題になっている完結騒ぎ。
25巻のあとがきで作者によるコメントがあった。



ちょっとスキャンするのが時間かかりそうだったのでそのまま撮影。
まーガチで最終回って書いてるわけですよ。

確かに終わりが近づいているのは読んでれば分かるのだけれど、さすがに唐突すぎる。
25巻に収録されているのはFLAG256までなので26巻に収録されるのは多くてもFLAG268までということになる。
大まけにまけてもFLAG269までだろう。
今回の連載分がFLAG263なので、実質残り5話(6話)しかないことになる。
さすがにこれで終わらせるのはちょっと無理ってもんじゃないだろうか。

とりあえずこの話は長くなるので後にして、まずは今回の感想をば。


あ、ちなみにこのあとがきの香織さんすごく可愛いです。





前回歩美のスイミングスクールへの案内を(強引に)ちひろにさせた桂馬。
初対面だとかお構い無しの超マイペース。

元通りというかむしろその点においては酷くなってる気さえする。




相手の了承を得ずに自転車を奪取。
やりたい放題である。

ひとまずスイミングが終わるまで歩美は後回しにして、他の宿主のところに先に向かうことに。
いくら女装しているとはいえそんな印象に残りそうな強力な行動ばかり取っていていいのだろうか。




そしてちゃんと自転車に乗れない桂馬。
そういえば運動能力凄く低いっていう設定あったね。
高校生の方はいろいろあって大分鍛えられたけれど、この時点ではそんなイベントはこなしていないのでただのモヤシなのだろう。

とはいえ小1ぐらいだったら自転車に乗れない子がいても不思議ではない、と思う。




一方現代?で行われる天理によるあゆみん説得。
普通の説得だけど神のみ的には攻略と言いたいところ。

前回穴を開けるというネタバラしをしたのだが、当然それで通じるわけはないのでどう話を持っていくのか。
天理は歩美のことを詳しくしらないのでまずは正攻法で正面から行くしかない。




一方対する歩美は完全にヘソを曲げているだけである。
桂馬が手を取って見つめながら「お前が必要なんだ」とか適当なこといえば10秒で落ちると思いますよこれ。




しかし桂馬はここにはいない。
天理も歩美の口説き方を知らない。

だからこそ、今ここで、必殺のアイテムが炸裂する・・・!




その名はカンニング・ペーパー!


伝説のギャルゲーマー落とし神こと、桂木桂馬によって書かれた手紙。
そこに記されているのは宿主達の完全なる個人情報だったのだ!!


いやいやちょっと待て。
確かに天理は宿主達のことなんて知らないだろうからある程度の情報を書いておくのは分かるよ?
でも身長と体重のデータとか確実にいらねーだろ!

というかどこからその情報仕入れてきた。
エルシィか、エルシィなのか。
しかも天理は読み上げていないが、氏名誕生日血液型身長体重と書いてあるのなら当然スリーサイズも書いてあるよね?

落とし神ともあろうものがヒロインのスリーサイズを知らないとかそんなまさかまさか。




ずらずらと書かれている個人情報?
さすが神にーさまデータ収集に余念がない。

読める範囲で確認できることは、どうやら宿主だけではなく他の攻略対象についても同様のデータがあるようだ。
そしてちひろが中学時代に陸上部だったことも書いてある。
たみーが以前Twitterで同様のことを呟いたことがあったが、今まではその情報が作中で出たことはなかった。
この辺りは結構本編に影響のある設定のような気がするから、他にもあるのであればどこかで出して欲しい。

右のページは良く見えないが、紅茶という単語や夜空という単語があるから月夜のページだろうか。
身体測定と医者が嫌いらしい。うん言われなくても分かる。




怒ると極めて凶暴な獣あゆみん。
命にかかわる蹴り技が得意らしい。
主人公じゃなければ死んでいたぞ。

ビンタの威力はいかほどなのだろうか。




下げて上げるスタイル。
そうすると印象が凄く良くなります。




そりゃあゆみんイチコロですよ。
女は褒めて殺せ。

手紙の中でも落とし神は健在である。




以上があゆみんの口説き方。
単純だから褒めてればなんとかなる。

まさに上げて落とすスタイル。




手紙によって語られる桂馬の”攻略”
今回は歩美のことしか語られていないが、恐らく女神篇の終わりまでの全てが記されているのだろう。

手紙が直接見えているわけではないので、そこに込められた情報量は分からない。
桂馬が悩んだことやヒロイン達の苦しんだことまで書いてあるのか。
それともただ何があったのかだけが書かれているのか。




何にせよこれで初めてヒロインに”攻略”のことが伝えられたことになる。
あゆみんの頭では何のことか理解できないだろうが、桂馬のしてきたことが普通ではなかったというのは伝わっただろう。

できれば桂馬から直接伝えて欲しかったところだが、これがあゆみんの知りたかった”本当のこと”




桂馬にはそのやり方しかなかった。
ゲームと同じように現実を処理するしかなかった。

それは桂馬も最初から言っていたことだ。
しかしそれを言い訳に自己を正当化したことはない。

だからこうやってそのことを理解してくれる人がいることはとても重要なことだ。
全てを受け入れてくれる理解者がいる。
それはきっと大きな助けになる。




あゆみん以外は超ダイジェスト。
かのんは少し出番があったが、ちょっとしたサービスだろうか。

カットされただけで手紙そのものにはあゆみんと同じぐらいの分量が各ヒロインごとに描かれているのだろう。
宿主以外のヒロインについてもきっとあるはずだ。




現実はクソゲー、それは最初から変わっていない。
それでもそのセカイで頑張って、一生懸命に生きている人たちがいる。

みんなそれぞれ形も、大きさも違う悩みや問題を抱えている。
立ち止まってしまうことも、諦めそうになってしまうこともある。

それでも、苦しみながらでも、答えを探している人たち。




友達なんていらない。
自分の理想のセカイの人間で、現実のセカイなんてどうでもいい。

そう言っていた桂馬が、”仲間”と呼んだ。

求めているモノも、最後に出す答えも違うものだろう。
でも同じセカイで同じように悩んで歩いていく。

そこに違いなんてない。
みんなそれぞれの答えを探して、それぞれの理想を目指している。




この言葉の重さは、きっと””にしか伝わらない。

同じセカイに生きる他者を自分とは違うセカイの住人として、係りあうことを避けてきた桂馬。
その桂馬が他者を自分と同じセカイに生きる住人だと、仲間だと認めた。




選択肢があれば正しく行動できる。
限られた選択肢の中から”正解”を選びとることのできるゲームにおいてはそれは絶対の正義だろう。

しかし現実には選択肢は見えない。

目が眩み目の前が見えなくなってしまっているのかもしれない。
状況が把握できずに、何をすればいいのか分からないのかもしれない。
何をやっても上手く行かずに心が折れてしまっているのかもしれない。

誰かの用意したレールがなければ、そこに選択肢は存在しない。




何も見ようとせず。
何も聞こうとせず。
何もしようとしない。

そうすれば何も選ばなくてよくなる。

そこには”正解”はないし”間違い”もない。
触れ合わないから誰も傷つけないし誰にも傷つけられない。

何もかもを捨ててしまえば、何もかもをなかったことに出来る。
ただ、自分の中だけで。


しかしそれは同じように、”未来”もない。
苦しみも悲しみも。
喜びも嬉しみも。

現実も理想も何もない。




迷ってしまうことも。
間違えてしまうことも。
立ち止まってしまうことも。

いくらでもあるだろう。

それでも、いつかはまた”前”を目指して歩き始める時がくる。




義務でもなく強制でもなく。

そこに選択肢があるからでもなく。




自分の”理想”を探すために。
自分が探したい”答え”を探すために。


選択肢があるということは可能性が限られているということ。
それは明確に道が見える一方で、他の道は存在しないということ。

選択肢がないということは可能性が限られてないということ。
”正解”がどこにあるか分からないけれど、無限の可能性があるということ。

定められた道のないセカイに新しい物語を作っていくということ。


これが桂馬の出した答え。
答えというにはあまりにも曖昧模糊な心構えでしかないもの。
でもそれは、一緒のセカイで生きていくという意志の表れ。




桂馬の手紙に記されていたのは覚悟とも言える本音。
当たり前のことといえば当たり前のことだけれども、現実の世界で生きたいという気持ち。

きっと現実はクソゲーでゲームは最高、というのは変わらないだろう。
それでもそのクソゲーをより良くするためにセカイで生きていきたい。

これはとても、とても大きな変化だ。


そしてその気持ちを伝え、最後の審判を下す役を天理に委ねた。
他にそれが出来る人物はいないし、きっとどんな状況だろうと天理は桂馬を受け入れるだろう。
だからこれは卑怯な選択なのかもしれない。
それでもきっと誰かに、同じセカイの誰かに肯定してもらいたかったのではないか。




と、今回明かされた手紙の内容はここまで。
桂馬の”答え”はほぼ明かされたので、あとは桂馬が実際に自分の言葉と行動でそれをどう示すかだ。

ところで手紙の続きには何が書いてあるのか。
手紙自体は天理に宛てたものであって、恐らく他人に見せるようには書かれていないだろう。

だとすると、ヒロイン達の情報→予定表→自分の気持ち、ときたので最後には天理へのメッセージがあるのではないか。
そうであれば天理が赤面してここまで、というのも納得できる。




しかし結局のところ、手紙を読んだだけでは全ては伝わらない。

歩美が理解できたのは桂馬が自分に近づいてきたのは、自分の意思ではなかったということ。
そしてそれは嘘偽りのない事実だということ。




でもそんなことと、好きになってしまった気持ちは関係ない。
相手が自分の意思で近づいてきていたのなら何も問題はない。
それが下心から来ていたものだったとしても、自分の気持ちとだけ向き合って決めればいい。

そうだったら楽だったのに、桂馬は違った。
最初から嘘をついていて、自分は騙されて。
好きじゃないという本当のことを告げられたのに、愛していると言われた。

手紙の内容も桂馬から直接伝えられたらまだ違ったかもしれない。
でも桂馬は教えてくれなくて、どうしたらいいのか分からない。

正解が、答えが、選択肢が見えない。




どうしたらいいのかが分からなくなったのは桂馬も同じ。
そして誰でも同じだ。

どうするのが正解なのかは誰にも分からない。
だから自分で決めなければならない。




どうしたらいいのか分からない、というのであれば答えを見せるしかない。




歩美をはじめとした宿主達は、桂馬によって桂馬を好きになるという選択肢を強制的に選ばされたようなものだ。
そのことを知って最終的にどうするかは彼女達自身の選択であり、今はまだその段階には至っていない。

一方で天理は”攻略”されていない、すなわち選択肢を選ばされてはいない。
しかしこの特異な状況に巻き込まれてしまっている。
その意味では、状況は違えど他の宿主たちと天理は同じ立場だと言えなくはない。

ちなみに桂馬はこの特異な状況に翻弄されることを運命じゃないと言ったのだが、どうやら天理は若干違う意味で捉えてそうだ。




約束してから10年間待っていた。
その長い時間で何があって何を考えていたのか。
手紙に書かれていることが本当に起こるのか。
手紙に書かれてないことは何が起こるのか。

誰も未来を知らない過去から待ち続けていた。




ただ一つの、自分の気持ちだけを信じて。
どうすればいいのか分からなくても、自分の気持ちを信じて、そこに答えがあると信じて進んできた。

天理の示した答えは単純明快。
好きだから会いたい。
それだけだ。




一方過去では、最後に残されていた歩美に首輪を付けて作業終了。
桂馬が過去でやることは全て終わった。

あとは現代へと帰るだけ。
そのためには歩美が答えを出す必要がある。

天理の言葉に対して歩美がどう応えるのか。
残された問題はそれだけだ。



物語が終わりに向かっているのは読んでいれば分かる。
それほど残されていることもないので、引き延ばしが入らなければ終わりは近い。

とはいえ、さすがにここから5話で終わりというのは無茶ではないだろうか。
オープンになっている情報が意外と多くとても処理できる量ではない。

地獄側の事情やサテュロスそのものについては桂馬の関与できる範囲ではないので、結果を示すだけでも良いのだけどそれ以外にもいっぱいある。
パッと思いつくだけでも
  • 渡航機を修理する
  • 桂馬を現代に呼び戻す
  • 動態巨人(サテュロス)に実際に攻撃を受けているので対処する
  • 消えたエルシィがどうなっているのか
  • 栞が調べようとしていた舞島の歴史
  • 宿主たちとの関係処理
  • 特に天理の10年間について
  • ドクロウとの再会
  • ハクア、ノーラ、リミュエルの便所掃除
  • ウル婆の言っていた何かの意図
  • 女神達の今後
とりあえず深く考えなくてもこれだけ出てきた。
全てを解決する必要はないが、スルーするにはちょっと苦しいところだ。
まぁエルシィとか渡航機が修理された時点でそのまま復活しても問題ないんだけど。

宿主たちとの関係処理と天理についてはほぼEDに直結しているので良いとしても、女神達をそのままにしておくことはできないだろう。
地獄側との状況次第でもあるが、いつまでも宿主と一緒になっているわけにはいかない。

桂馬の心持にだけ注目すれば、確かに答えを出せる段階にまでは来た。
しかしそれはまだ手紙に記された言葉だけなので、現代に戻ってきてから桂馬自身がその答えの結末あるいは可能性を示さなければならない。

そう考えると状況を動かすだけで3話は確実に消費してしまうだろうから、とてもじゃないがまとまりそうにない。


26巻で完結する、という触れ込みだが一体どうなるのか。
タイトル変えて続編を新連載扱いでも良いんですよ先生。

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